かもめのジョナサン 完全版

 

かもめのジョナサン: 【完成版】 (新潮文庫)

かもめのジョナサン: 【完成版】 (新潮文庫)

 

 本書は1970年に販売され世界中でベストセラーになった「かもめのジョナサン」に、今まで公開されることのなかった第4部を加えた完全版とのこと。

 

かもめのジョナサン」を読んだことがなく、そんな背景も知らずに書店にて手に取りました。ページ数の割に文字が少なく写真も多く載っているため1時間もかからずに読了。

  

読了後、宗教観念も含む寓話的内容の本書が、なぜ1970年代当時に世界中でベストセラーになり得たのだろうかという疑問が浮かびました。70年代は日本でいう高度経済成長といったものが先進諸国では円熟し飽和状態を迎え、物質的欲求から精神的欲求に人々のステータスが移行していったのではと勝手に予想する。

 

実際はどうなっているのかと思い調べWikipediaや他の方のレビューを確認すると、「かもめのジョナサン」がアメリカで大ヒットした下地には当時のヒッピー文化が大きく影響している、とのこと。

ヒッピーをよく理解していなかったのでWikipediaで調べてみると

 

伝統・制度などの既成の価値観に縛られた人間生活を否定することを信条とし、また、文明以前の野生生活への回帰を提唱する人々の総称。1960年代後半に、おもにアメリカ(発祥地はサンフランシスコのヘイト・アシュベリー地区との説がある。ロス郊外のローレル・キャニオン(英語版)とする説もある)の若者の間で生まれたムーブメントで、のちに世界中に広まった。彼らの多くは、自然と愛と平和とセックスと自由を愛していると主張した。

  

引用 - Wikipedia

 

わたしの予想は当たらずといえども遠からず。

いや、結構遠いかΣ(´∀`;)

 

「既成の価値観に縛られた人間生活を否定すること」という一文の「人間」を「かもめ」に置き換えると、もろに「かもめのジョナサン」とリンクしているので、ここが当時のヒッピーから支持を得られた理由なのでしょうね。

 

物質的欲求がいまだに精神的欲求を上回っているわたしは、ある意味パンくずをもらうためだけに生きているかもめの集団、ヒエラルキーでいう下層民なのかもしれません(;・∀・)

 

レゴも欲しいしバイクも欲しい、車も欲しいしマイホームも欲しいヽ(`Д´#)ノ ムキー!!

 

寓話的な面だけではなく、自己啓発といった面で本書は

自分にとって本当に大切なことは何か、たとえそれが世間一般の常識から逸れているとしても。そしてそのために一生懸命に努力することをかもめのジョナサンリヴィングストンは教えてくれました。

 

SNSが蔓延り、友達と「同調」することで繋がりを確かめ合い、ジョナサン・リヴィングストンのような異端を嫌うらしい現代の若い世代にとっては大いに響くものがある一冊なのかもしれません。