オールド・テロリスト

 

オールド・テロリスト

オールド・テロリスト

 

 

私の好きな作家である村上龍さんの新作です。

2011~2014年にかけて、文藝春秋にて連載していたものを単行本化。

連載していたのは知っていたので、待ち侘びていました。

 

帯コメントはこんな感じ。

怒れる老人たち、粛々と暴走す

「年寄りの冷や水とはよく言ったものだ。年寄りは、寒中水泳などすべきじゃない。別に元気じゃなくてもいいし、がんばることもない。年寄りは、静かに暮らし、あとはテロをやって歴史を変えればそれでいいんだ」

 

 

希望の国のエクソダス (文春文庫)で主人公でだったライターのセキグチが主役。

つまり、続編ともいえる。 ただし、ストーリーに関しては全くの別物なのでポンちゃんとかは出てきません。

 

希望の国のエクソダス (文春文庫)

希望の国のエクソダス (文春文庫)

 

 

 

内容は帯コメントのまんま、老人がテロするお話。

主人公もそのテロ行為に巻き込まれるのだが、次第に首謀者である老人たちの思想や生き様に心動かされる、というかなんというか。

 

ちなみに、つい最近読んだビックデータ・コネクトの記事でたまたま上記作品にも触れていたため、読み始めて数行で驚きました。

hayatooovsneko.hatenablog.com

 

 

近頃はエッセイなどが多かった村上氏であるが、本作で、久々に私の求めている村上節を垣間見ることができた。

 

恐らく、著者の過去の作品(五分後の世界 (幻冬舎文庫)愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)半島を出よ〈上〉 (幻冬舎文庫)など)を読んだことがない人が、いきなり本作を読んだら、助長とも思える性描写や登場人物の精緻な心情の描写に対して「読みにくいなぁ」などと思うかもしれない。

 

それに、内容が毎回過激なので、村上春樹は好きだけど村上龍の作品が好きという女性には会ったことがありません(;・∀・)

 

しかし、このようなディティールにこだわることによって作品の世界観がより鮮明になり、著者のメッセージ性が際立っていると思われる。

  

本作のメッセージはなにか。

本文から引用するとしたら、次の一言だと思われる。

 

「腑抜けた日本を、もう一度焼け野原に戻す」

 

ただのエンターテイメントでは終わらない、村上龍さんの小説。

学生の頃に彼の作品を初めて読み、「危機感」というものを学びました。

 

彼の作品を読む度にいろいろと考えさせられることが非常に多いですが、中学生の頃に出会っていれば今以上の衝撃を受けていたと思います。