特別お題 青春の一冊『愛と幻想のファシズム』

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
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わたしの青春の一冊を挙げるとすると村上龍の『愛と幻想のファシズム』です。

 

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫)

 

   

家の書棚にある中で一番読み返したことのある本がこの『愛と幻想のファシズム』。

大学受験で使用していた参考書並みになぜかボロボロになっている。

 

当時なぜこの本を手に取ったのか、その理由までは覚えていない。

しかし、大学生のときに初めてこの作品を読み大きな衝撃を行けたことは何となく覚えている。それ以来、わたしは村上龍のファンになり多くの作品に目を通してきました。

 

ちなみに、女性と会話をしていて読書の話題になった時、圧倒的に受けがいいのは村上春樹の方です。これはわたしの実体験に基づく統計上、有意という結論が出ています。読書の経験があまりない方にはテキトーに『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』と言っておけばシャレオツ感を演出できます。間違っても、『限りなく透明に近いブルー』や『コインロッカー・ベイビーズ』をオススメしてはいけない。文学的な評価と女性受けは必ずしも一致しないのである。

直近だと、義理母にコテコテの村上龍テイストではない作品『心はあなたのもとに』を紹介したが、「よくわらなかった」と一蹴される始末。

 

改めて、『愛と幻想のファシズム』のどこにインパクトがあったのかと問われると上手く言葉にはできない。恐らく、本作を読んだことがある人に対してなら抽象的にわたしの持つイメージを伝えられるのだが汗

 

ただ、多くの村上龍の作品を読み終わった時に思うことは「なんとなく人生を過ごしているだけではいけない」という「危機感」です。本作では未曽有の世界恐慌によって日本経済が危機を迎えるわけですが、わたしの言うそれはもっとミクロ的な視点で、1人の人間として社会を生きていく上での危機感のこと。

 

人生を無為に過ごすという選択肢もあるが、敢えてそちらを選択するような生き方だけはしたくない。この考えはわたしのアイデンティティーに大きな影響を与えているように思う。なので、青春の一冊というよりも、どちらかというとバイブル的な要素のあるこの一冊を推薦。

 

余談ですが、マンガやアニメにもなっている「エヴァンゲリオン」はこの『愛と幻想のファシズム』からインスパイアを受けている作品です。エヴァに興味がある人が本作を読むと、エヴァの世界観がさらに深まるのではないでしょう(わたしはエヴァを良く知らないので多くを語れず)。