初めて、養老孟司さんの本を読みました。
タイトルだけを見ると、文系批判・理系至上主義を疑ってしまいますが、安心してください。そんなことはなく、文系と理系では発想の根本が違うよね、などなどそんな内容です。
本書は養老孟司さんと理系側に属する4人との対談です。
対談相手の詳細は以下の通り。
・手軽にバーチャルリアリティが体験できるデバイス(段ボール製)を考案した脳科学者藤井直敬氏
・話題作『なめらかな社会とその敵』の著者で、「スマートニュース」の運営者でもある鈴木健氏
・『捏造の科学者 STAP細胞事件』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した毎日新聞記者・須田桃子氏
養老孟司さんプロフィールを見れば頷けますが、読んでいる途中で知識の幅や造詣の深さに驚きました。もちろん、対談相手の方々も。
素人目からすると、専門家同士の会話はカオスに見えてしまいます。そのため、いつものようにしれーっと斜め読みしていると、一瞬、何を言っているのか理解できない部分がちらほら。
もちろん、文系の人は置いてきぼりな内容ではなく、一般の方でも理解できる表現のため、こうも発想というかバックグラウンドが理系と文系で異なるのかと、驚きでした。
文理の差っていうのは、以前に読んだファインマンの本でもひしひしと感じました。
それに、サイエンス本を読んでて思うことが。
それは理系の世界(研究や学会)が全ての物事を論理的に片づけているのか思っていましたが、一概にはそうと言えないこと。むしろ、サラリーマンの属する企業というものに非常に似ているな、ということです。
また、文系と理系、互いに違いはあれど、不特定多数の人間が一定数集まると意志の決定プロセスはどこも一緒なんだなーと。どちらの世界も会議の苦労は一緒なんですね。
もちろん、そこに至るまでの個人や小集団の発想や思考法は、文理問わずどちらもメリットデメリットがあるんでしょうが。