『ロスジェネの逆襲』を読みました

 

ロスジェネの逆襲 (文春文庫)

ロスジェネの逆襲 (文春文庫)

 

2016年6冊目。

 

『オレたちバブル入行組』、『オレたち花のバブル組』に続く、半沢直樹シリーズ3作目。文庫版が去年の9月に販売され、ようやく読みました。勧善懲悪ではありませんが、最近よく読む月村了衛氏とはまた一味違う爽快感があります。

 

以前、ドラマ版も見ていましたが、何かと共感できる「サラリーマンあるある」が多いのが本シリーズのポイントだと思います(ドラマは2013年に放映されたので、すでに2年以上も前なのですね…)。

 

ストーリーは子会社の証券会社に出向した半沢と親会社である銀行の証券グループとの企業買収争い。

 

表題にある「ロスジェネ」とは、ロストジェネレーション世代のこと。

ロスジェネについて調べてみると、対象としている年月はいろいろと諸説あるようですが、バブル崩壊後に就職氷河期に大学等を卒業した世代を指すようです。生まれた直後にバブルが崩壊、日本経済の急成長を経験したことがないなど、広義に解釈するとわたしも未だにロスジェネ世代なのかもしれません。

 

そのような世代によって人間を分ける世代論は好きではないのですが、作中に書かれている世代間格差というものが職場や日常に蔓延しているのも事実で、読んでいる最中に何度も「あるあるー」と首肯する場面が。

 

金融業界の人間ではないため、本シリーズに書かれている銀行マンのエゲツナイ応酬の数々がどこまで本当でどこからがフィクションめいたものなのか、その境目がわかりませんが相変わらずテンポのいいストーリー展開と半沢の快刀乱麻を断つ見事な仕掛けに打ちのめされました。

 

作中の後半、読んでいてはっとさせられたセリフが登場。

「仕事の質は、人生そのものの質に直結しますから」

 

わたしは普通のサラリーマンなので週5日間、9時から18時まで働いています。最低でも9時間×5日間で45時間も仕事をしている計算。帰ってから家族とコミュニケーションをしているとはいえ、圧倒的に生活の大半は「仕事」に割かれています。

 

その仕事の先行きや将来について悩んでいるときにこのような核心を突く言葉を見聞きすると、いろいろと考えさせられる一冊でした。