『シフト 上・下』を読みました

 

シフト 上<シフト> (角川文庫)

シフト 上<シフト> (角川文庫)

 

 シフト 下<シフト> (角川文庫)

 

2016年10、11冊目。

前回読んだ「ウール 上下」の続編。シリーズ2作目の本作は過去編です。

 

サイロが建設されていく過程とその理由が明かされ、ウールで描かれている現代(2345年)までの経緯が書かれています。

 

Amazonのレビューでも書かれている通り、前作がテンポの良い疾走感のある内容だったため、設定の説明である過去編で中だるみを感じるのも致し方ないのかな。ですが、世界観にディティールを加えたり最終章である次作「ダスト」の伏線のためを思うと、トータルで見れば本作「シフト」も非常に良い作品だと個人的に思います。

 

  • あらすじ

「2049年、滅亡前の世界。新人議員のドナルドは、上院議員サーマンから極秘プロジェクトへの参加を依頼された。ドナルドがサーマンの娘アナと設計した地下施設が完成、全国党大会が行われる中、上空で核爆弾が爆発した。一方、滅亡後の世界では、冷凍睡眠から目覚めたトロイが、サイロの責任者として「第一シフト」に入っていた。ミッションは秩序維持。必要なすべては、『秩序の書』に書かれ、伝承されていた。」

 

サイロを建設する流れとしてはよくある兵器濫用から来る、環境破壊。それらから身を守るためのシェルターの役割としてサイロが作られたわけですが、本シリーズの面白い所はいきなり環境改善後の世界から始まるのではなく、せまっくるしいサイロの中でストーリーが進められているという点とその中で生きる様々な立場の人間の心理描写でしょう。心理描写については本作のドナルドを通じて深く書かれているが、閉鎖空間で何百年も世代交代を続ける人間の心理と、それらを支配する管理者たち。それと、本当のサイロ計画の目的を知る数人の権力者。世界崩壊の設定はハリウッド映画によくありがちですが、それに付随する「サイロ」の設定が抜きんでていて世界的にヒットした理由ではないでしょーか。

 

参考までに、どれくらい本シリーズがヒットしたのかアメリカのAmazonを見てみると、商品レビューが11,689もあります!(2016年2月22日時点)

www.amazon.com

 

そのうち75%が5つ星なのでそれなりの高評価。続く「シフト」と「ダスト」も好評化なので、シリーズを通して万人受けする作品らしいです。

 

ちなみに、前作の表題「Wool」の由来はそのまんま、毛織だそう。作品中、カメラのレンズを「清掃」しにいくときに持たされる毛織とのこと。サイロ実験の略称も「wool」と表記されていました。

 

 

 

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