2016年12冊目、13冊目。
サイロシリーズも第3部の「ダスト」で終了です。読み終わるまで長かったー。
読み始める前は、全部で6冊もあり最後まで気力を持って読めるだろうかと危惧していましたが、そんなものは第1部「ウール」を少し読んで雲散霧消。第2部「シフト」で過去編を展開して、本作「ダスト」で新しい局面へ突撃という、巻末にも書かれていましたが、アメリカドラマのお決まりのような流れですね。
シリーズを通して一貫していたことは「ダスト」でドナルドが原子炉へ爆弾を運んでいるシーンの以下に集約されていると思いました。
「人間らしく生命を全うしたヘレンを思った。生命とはこうあるべきだ。生きる。精一杯生きる。道を開ける。あとから来る者に選ばせる。自分の生き方は自分で決めさせる。それが人の道。」
ストーリー全体の流れが単調なため、「最後はきっとこうなるんでしょ?!」と薄々気が付いてしまいますが、そこはディストピア小説(ユートピアの反対)。最後のオチだけではなく、そこに至るまでの世界観を十分に楽しめたか否かがいい本悪い本の分かれ道だと思います。
本作の最後はもろストレートボールだったので「消化不良である」という意見を見かけますが、確かに最後の最後で予想だにしない大どんでん返しがあったら、日本国内でももっと評価があがっていたかもしれませんね。
著者であるヒューハウイーは、KDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)で「ウール」を99セントで販売して、口コミからジワジワと火が付き全米大ヒットとなったそうです。日本国内ではわたしも読んだことがある藤井太洋さんの「Gene Mapper」という作品がセルフ・パブリッシングで一躍有名になりました。
「本を出版する・公開する」という敷居が低くなってきた今の時代、兼業作家も増えてきているので、各分野で活躍した人物がその専門知識をふんだんに生かした書いた小説が安価で簡単に読めるようになってきたのは、読書人にとって非常にありがたい話です。