20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
- 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2010/03/10
- メディア: ハードカバー
- 購入: 475人 クリック: 17,353回
- この商品を含むブログ (401件) を見る
2016年17冊目。
本作はスタンフォード大学で起業家育成コースを担当する著者であるティナ・シーリグさんが、当時20歳になる息子への誕生日プレゼントとしてまとめたもの。「起業家精神」と「イノベーション」に関する最良のテキストであると同時に、「人生への贈り物」とも言える言葉がいっぱい詰まった自己啓発書です。
著者の体験談や授業で行っているワークショップの実例が多く書かれており、自己啓発書によくある具体例を欠いた本とは一線を画しています。参考までに、著者がスタンフォード大学で実際に学生に出した課題を載せます。
いま、手元に5ドルあります。
2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?
「わらしべ長者なる!」と真っ先に思い浮かべました(;・∀・)
生徒たちの回答は、どれもよく考えれば思いつきそうなことだけど、既存の枠に捕らわれている発想だとなかなか到達できないものばかり。
読んでいて気になった箇所をいくつかご紹介。
「企業家とは、チャンスになりそうな問題をたえず探していて、限られた資源を有効に使う独創的な方法を見出し、問題を解決し、目標を達成する人を指します」
新しい製品や企画を考えるとき、どうしても安直に0から作り上げようと思いがちですが、今あるものを使って新たに価値あるものを生み出すことが企業家には必要だと言っています。1+1で2以上の価値を生み出すのがイノベーションである。
「面白いのは、現場にいる人ほど、日常的に問題にぶつかっているので、その状態に慣れきってしまい、問題に気づきもしない、まして、それを解決する独創的な方法など思いつかない」
これは日常的によくある事。
当事者では気付かないことを第三者目線で考えると「こんな簡単なことになぜ今まで気付かなかったんだ…」というシーンに、働き始めてから何度も遭遇しています汗
そういうことが無いように、常に問題意識を持ち、先入観を排した思考が求められるそう。
「自分を助けてくれる人に対して、つねに感謝の気持ちを表すことが大切」
誰もがこうするべきだと教わるはずですが、実際にそれを伝えることはなかなか難しいことが多々あります。筆者は、世間は思っているより狭いのである時のふとした縁が巡り巡って還ってくることもあるため、常に感謝の気持ちを伝えることはとても大切である、とも述べています。
「期待される最低限のことしかしないのは、その機会を自分で台無しにしていることになります」
ギクり…。給料分は働いたな!と満足しているようなわたしは愚か者です…。
「不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉」
「この本で伝えたかったことは、快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということでした」
これらが、本書を通じて著者が息子さんに一番伝えたかったことではないでしょうか。
外国では失敗を大いに認める文化ですが、日本においてはその辺の事情が少し複雑です。ともあれ、その経験を生かすも殺すも自分次第。
「人間は二つのタイプに分かれることがわかってきました。自分のやりたいことを誰かに許可されるのを待っている人たちと、自分自身で許可する人たちです」
新しいことに挑戦するため、居心地のいい状況から自ら抜け出すためには非常に難しい判断が求められます。そこには強い意志がどうしても必要なわけで、わたしのように意志薄弱な人間はなかなか行動に移せないもの。なにかにつけて、言い訳を探して自分を納得させているんですね。まさに、自分のことを指摘されているようでびっくらポン。
この他にも鋭い指摘や問題提起がなされており、500円ちょっとでこんな良書が読めたことは非常にラッキーでした(Kindleのセール時に購入したので529円!!)。
一部、Amazonのレビューには「どの自己啓発書にも書かれている内容でタメにならない」といった書き込みもありましたが、わたしにとって自己啓発書というのは少なくとも読んでいる間は、書籍に書かれている事を実践してみようと努力します。例えそれが以前どこかで読んだことのある内容だとしても。
そういう小さい気づきや体験の積み重ねが後に大きく化けることもありますし、そのまま習慣化することなく忘れ去られてしまうことも(大半は後者)。なので、自己啓発書を読むときに最も大切なことは、自分の気の持ちようだと思っています。
2010年に発売されたベストセラー本なので今さら感がしますが、わたしにとってはそんなことを微塵も感じさせない凝縮された内容で、パワフルな一冊でした。そして