2016年22冊目。
『一刀流無想剣 斬』に加筆修正を加え、改題したのが本書。
わたしはそれを知らずに『一刀流無想剣 斬』の続編が出てる!と勘違いして読んでしまい、2回目の読了。
「下野国で、重臣による謀反の難から逃れた領主の娘・澪姫と小姓が追手に囲まれた時、黒い長羽織姿で長身痩躯の男が二人を助ける。男の名は神子上典膳、剣聖・伊藤一刀斎より印可を受けた一刀流の達人。逃避行を続ける典膳らに絶体絶命の危機が迫る!剣戟あり、謎ありの娯楽時代小説。」
伊東一刀斎に弟子入りした神子上典膳(後の小野忠明)と小野善鬼にまつわるストーリー。神子上典膳とおもわれる男が各地を放浪して、たまたま出会った娘達を助け、ドンパチと刀で決闘を繰り広げていくだけの、時代劇によくある「勧善懲悪」という一辺倒な内容かと思いきや、ただ単には事が進まない本書。謎がちりばめられており、先の展開がイマイチ読めない面白さがあります。
また、著者である月村了衛さんは作家として活躍される前には脚本家として活動をしており、そういったこともあって著者の作品はどれもストーリーの起承転結がキチっとしており、読んでいて一定の安心感みたいなものがあります。
どちらかというと『機龍警察』シリーズや『土漠の花』といった現代小説のイメージが強い月村了衛さんですが、本書と同じ時代小説『コルトM1851残月』も今月4月8日に文庫版が発売されるようなのでそちらもオススメです。