『黒い家』を読みました

 

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

 

2016年27冊目。

 

この本、わたしが初めて読んだ貴志祐介作品でした。その次に『天使の囀り』を読み、なんてえげつないホラー・サスペンス作品を書く作家なんだ!と驚愕したことを覚えています。

その後は、『防犯探偵・榎本シリーズ』や『青の炎』、最近だと『悪の教典』『新世界より』で話題となり、わたしの中でイメージ補正がされております。Kindle版を購入して、再読です。

 

保険金詐欺のとても闇は深い…

「指狩り族」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

これは工場などで勤務中に、故意に指や腕を切り落とし、手指の欠損事故による補償を目的とした保険金詐欺の一種らしく、これが流行った時には、みんな一様に左手の親指を失くしてしまう事故が多発したのだとか。

嘘か真か、数百万円のために体の一部を切り落とす…わたしにはとても信じられない行為ですが、そのような行為をためらうことなく行うもしくは行わせる人間が少なからずいるとしたら、恐怖ですね。

 

テーマは保険金詐欺

日本人は世界的に見て「保険」が好きな民族らしく、生命保険の加入率は約9割に達するそうです(近頃は8割台になったそうですが、それでも他国と比べると依然として高いらしい)。

そんな身近な「保険」につきまとうのが、保険金詐欺。交通事故を偽装した生易しいものから、上述したようなえげつないものまで、昔からあらゆる保険金詐欺が横行しています。本作は「えげつない行為」による保険金詐欺がテーマ。

 

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞受賞作。

 

引用 - Amazon.co.jp

 

ただの保険金詐欺なら「ふーん、そうなんだー」程度で終わりますが、本作はあらすじに書いてある通り、まさに恐怖の連続!ストーリーが冗長しておらず、コンパクトにまとまっているので、テンポよく恐怖シーンが訪れます(笑)

 

本作の舞台が京都となっており、無駄にジャパニーズホラー感もわずかに演出されています。ホラーやサスペンスものをあまり読む機会はありませんが、そのジャンルではオススメの一冊です。