2016年30冊目。
ギャンブルは好きですか?
本書はお台場にカジノを建設し成功させるべく、外資のカジノ運営会社に転職してきたクズの中のクズである主人公が奔走する話しです。民間と官僚との応酬、カジノの実態、それに魅了される大金持ち…など普段は垣間見ることのない世界を知ることが出来ました。
ちなみに、わたしは27年間で1円もギャンブルに使ったことがありません。学生の頃、時給の高さに惹かれてパチンコ店で1年以上もアルバイトしていたにも関わらず、です。(未だに確変とか、細かなルールすら知りません)
なぜなら、興味がないし、リターンの期待値が低いから。
実際のカジノ法案はどうなんでしょう?
公営競技やパチンコが合法化されているのに、カジノ法案に関してギャンブル性の観点から政治家が否定的な意見を述べているシーンを見るとわたしは白けてしまいます。
それでも宝くじを買いますか?
ちなみにギャンブル好きな方はご存知かと思いますが、ゲームには「控除率≒てら銭」というものがあります。控除率とは胴元の取り分のことで、控除率が高いゲームほど購入者やプレイヤーが損をしやすくなっています。
宝くじ:55%
公営競技:20~30%前後
パチンコ・スロット:10~15%
バカラ:1~4%
ブラックジャック:-1~1%
端的に控除率だけ見ると、いかにカジノがプレイヤーに優しいギャンブルかわかります。バカラやブラックジャックなどのカードを使ったゲームはカードを暗記する等のテクニックを駆使することで勝率を高めることも可能なため、カジノでも最も人気のあるゲームだそうです。
控除率が突出して高いのが、「宝くじ」です。
売り上げの一部が社会貢献に使われていることを思うと一概に悪いとは言えませんが、購入者の何割がこれらの数字を知っているのでしょうか。このことについて本書で書かれていましたが、公営競技は管轄省庁がそれぞれ異なっており、それぞれの利権を守るため必死に工作をしているのだとか。
別にカジノやギャンブルを推奨しているわけではありません。
お金がかかる「趣味」と考えればわたしのバイクや読書となんら変わらない嗜好です。ただ、ゲーム性の裏にカラクリがあるということを知っておけば、より理性的にゲームを楽しめるようになるのではないでしょうか。わたしの父も一時パチンコに熱中しており、母の苦労する姿を見ていましので、どちらかというと否定的です。
日本の優位性とは何か
さて、本書の内容にもどりますが、ただ単に外国のカジノを日本に輸入しても面白くないということで主人公たちは日本独自の賭け事を検討します。ゲーム性に加えてエンターテイメント性もあるゲームを考案するわけですが、それは本書でご確認ください。
日本の持つ強みを作中では以下のように表現しています。
「日本は世界に類を見ない特殊な国だ。安全で、クリーンで、最先端の技術と古来の伝統が見事に共存している。そして何よりも素晴らしいのが、人の優しさであり、勤勉さであり、無欲の奉仕の心だ。それが、来日する外国人を魅了して止まないんだ。日本人が、日本人としてあり続ける限り、日本を訪れる外国人の数は、増えることはあっても減ることはない。」
国民として、日本が世界から好意的に受け取られていることに関しては素直に喜ばしいことですが、どこまでが本当なんでしょうか?近頃はメディアで「日本礼賛論」を多く目にしますが、わたしは少し疑問を感じています。
海外のメディアが発信する情報なら客観的情報として受け入れることが出来ますが、国内メディアが必要以上に自国のいいところを積極的に発信し、日本人が悦に浸っている感がどうしても拭えません。
島国で危機感が希薄であることが原因なのかと思いますが、メディアリテラシーというか情報を正確に扱える能力が生きていく上でも、ギャンブルをする上でも重要だなーと感じた一冊でした。