出版された当初(2014年)書店でこの本を見かけて、なんつーすごいタイトルの本が出版されたんだ!と思いました。ちなみに、原題は「I'm Sorry I Broke Your Company」
こんな人に読んでもらいたい!
冒頭に書かれていますが、仕事をしていて一度でも以下のようなことを思ったことがある方に本書をオススメします。
仕事をしていて「みんな頭おかしいんじゃないの」と思ったことがあるなら、それはあなただけではない。これは、あなたのための本だ。
コンサルタントは悪?
過去に一度だけコンサルとお仕事をしたことがあります。
そのコンサルが絵に描いたように「ツール大好き人間」であらゆる問題をツールに落とし込もうと必死な方でした。それに伴い大量の作業が下っ端に回される。クライアントなのに、大量の(無駄と思われる)作業を押し付けられ、募るコンサルタントへの不信感…。最終的に、話が必要以上にややこしくなるためコンサルに話を通さずにプロジェクトを進める、という謎の構図で作業は完遂。
本書を読み終わった後にその時のことを思い返すと、あのコンサルタントはわざと悪者を演じてプロジェクトを円滑に進める作戦だったのかな?と思いましたが、どう考えても素でしたね。わたしは1回目でハズレを引いてしまった感がありますが、2回目以降もハズレとは限りません。世にはコンサルのおかげで業績が良くなったという話しがあるのも周知の事実。
ただのコンサル批判本ではない
世の中にはわたしの実体験と似たような話がごまんとありますが、本書は、コンサルとして数々の案件を手掛けてきた著者自らがコンサル業界が犯してきた恐るべき過ちの数々を大暴露する内容となっています。
本書は、その著者が自ら「自分たちがコンサルタントとしてクライアントに勧めてきたことは、あれもこれも間違っていた」と懺悔した前代未聞の書である。「この30年、多くの企業に入り込み、『目標による管理』だの『競争戦略』だのとお題目を唱えて回ったすべての経営コンサルタントを代表してお詫びします」と告白したのだ。
タイトルが過激なんで勘違いされるかもしれませんが、本書はかつてコンサルタントに煮え湯を飲まされた人向けに「コンサルタントなんてクソくらえ!」という批判本ではありません。ユーモラスたっぷりにコンサルが機能しなかった実例を取り上げていますが、理論/ツール重視のコンサル手法を批判しているのであって、そもそもコンサルを必要としている課題の多くが「対話不足」が理由であると言っています。事実、著者のコンサル経験の中で一番うまくいった方法が難しいモデルやツールを駆使するより関係者全員を集めてコミュニケーションさせる、という皮肉話しがおもしろい。
コミュニケーションに勝る理論はない(そこまでは言っていないけど)ということなんでしょうね。問題が発生したときにメールや電話のやり取りではらちが明かないけど、現場に行って話してみるとすぐに解決した、なんてことがよくあるのであながち嘘ではないかもしれません。
コンサルタントに無縁の人にもオススメ
後半は人事評価、マネジメントについていろいろと書かれています。
コンサルタントなんて無縁だわーという人もいるでしょうが、企業に従業員として所属していれば誰かしらに評価され、それを基にサラリーを受け取っているはず。特に、総務セクションにいる人や自身がマネジメントする側になった際に読んでおくとためになることがたくさん書かれているので、あらゆる方に本書をオススメします。
本書に書かれていた、Google社が提示する優れたマネージャーの8つの条件を備忘録として残しておきます。実在する優れたマネージャーの行動特性を抽出した結果だそうです。
①優れたコーチである
②チームを力づけ、事細かく管理しない
③チーム・メンバーの仕事上の成功と私的な幸福に関心を示し、心を配る
④建設的で、結果を重視する
⑤コミュニケーション能力が高く、人から情報を得るし、また情報を人に伝える
⑥キャリア開発を支援する
⑦チームのために明確なビジョンと戦略を持つ
⑧チームに的確な助言をするための、主要な専門的スキルを持ち合わせている
有名な「7つの習慣」と似ているところがありますが、結局のところ人の上に立って頼りにされる優秀なマネージャーに求められるものは「シンプルなスキル」なんですね。シンプルゆえに難しいので、各社やっきになって優秀なマネージャーを獲得しようと必死なんでしょうが。
自分の働き方を見直すいい機会となる一冊でした。