【読書】柄にもなくキュンキュンした「君の膵臓をたべたい」

数年前に流行った「キミスイ」。職場の方に勧められ、今年4月に発売された文庫版を読了しました。

本書のストーリーは、余命が残りわずかな少女と友達が一人もいないクラスでぼっちな少年のお話。どこかで見聞きしたことがあるような内容だが、タイトル「君の膵臓をたべたい」の強力なインパクトと、普段は本を読まない若い世代に受けそうな軽い文体が相まって、大ヒットしたのではないかなーと推察します。

 

もし自分の命が残り1年だとしたら?

恐らく、誰もが1度は考えたことのあるテーマだと思いますが、現在のわたしなら「仕事を辞めて、妻と子供たちと1秒でも多くの時間を過ごしたい」と願うでしょう。バイクとか読書とかゲームとか、やりたいことは死ぬほどあるけど、個よりも家族を優先するはず。ただし、これは健康で命の危険に脅かされていないわたしのしょうもない空想。

 

実際にそうなってみないとわからないコト・気づかないコトがほとんどだろうし、そういう意味では、最近亡くなった小林麻央さんのブログは死と常に隣り合わせで生きている「リアル」を発信し続け、ある種の凄味を含んだその内容は、ファンをはじめ、同じ病気で苦しむ人やその他大勢の人から愛された理由なんじゃないかな、と勝手に想像します。あんなに世間の人から愛され、慕われている人はそうそういないでしょうに。

 

さて、本作を読み終え思うことは、「なんでもない日常の大切さに、改めて気が付く」という、掃いて捨てるほどあるありきたりな感想です。本当ならもっと気の利いた深いコメントをしたいけれど、これしか思い浮かびませんでした。

 

でも、いいんです。無自覚で過ごしがちな日常の本当の価値を、本や映画を通じて、色彩豊かな物に仕上げていく。物事を忘れやすいわたしのような人間には、たとえよくある陳腐なストーリーでも、読む度に新たに突き刺さるものがあります。現に、涙もろいわたしは少しだけ目からしょっぱい体液が出ました。ほんの少しだけ。

 

ちなみに、2017年7月28日に映画も公開されるそうです。

本を読まない人は映画を観て楽しむのもありですが、本作品はぜひ活字で妄想を膨らませながら楽しんでもらいたいので、小説→映画の順番でエンジョイすることを薦めます。

kimisui.jp

 

 

自分の学生時代にもこんな素敵な人と出会いたかったなーとか思い出しながら、甘くて酸っぱい気持ちになれる本でした。読書玄人にはウケないだろうけど、広く万人にオススメできる一冊です。