【読書】涙なしには語れない「魂でもいいから、そばにいて―3・11後の霊体験を聞く」

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あの日あの時、大学卒業を目前に控えていたわたしは埼玉にある実家の自室でテレビを見ていました。

 

揺れ始め直後は「少し大きな地震だな」程度に思いましたが、すぐに経験したことのない強い揺れに危機を感じ、飼っていた犬を抱っこしてすぐさま家の外に避難したことを覚えています。あとにも先にも、地震で「死ぬかもしれない」と感じたのはあの時だけ。本当に怖かったです。

 

 

霊を信じる?

わたしは霊感もなく、霊体験もありませんが「霊を信じる?」と問われたら「あってもいいかもしれない」と思っています。世の中にごまんと転がっている、明らかに胡散臭い話しは別として。

 

経験したことがないので真相は知りませんが、霊体験を経験したことのある人が言うなら「ある」んだと思うし、仮にもし身近な人を亡くした後、霊でもいいから会えるなら会いたいと強く願っています。

 

ただし、怖いやつはNGだ!

ホラー映画とかたまに好き好んで観ますが、鑑賞後のトイレとか、洗面台の鏡って少し怖いですよね(28歳/男性/会社員)

 

本書の内容

本書は「大震災で愛する者を失った人びとの奇跡の体験と再生の物語」と銘打っており、身近な人を亡くした方々の不思議な霊体験をまとめた内容です。

 

震災関連の書籍を初めて読みましたが、とても軽い気持ちでは読めませんでした。わたしはかなり涙もろい人間なので、妻のいない時間にリビングで本書を読みましたが、最初から最後まで涙が止まりませんでした。

 

被災者の方々が語るその瞬間はとてもリアルで、同じあの日あの時間の出来事とは思えません。

 

愛する人を失うこと

いくつもの霊体験のエピソードが書かれていますが、最も読むのが辛く感じたのは愛する伴侶やわが子を失った方の話し。

 

前日までいつも通り一緒に生活していた人が、ある日突然いなくなってしまう悲しみ。

自分が結婚して子供が産まれて、仮に被災者が経験したことを自分の家族に当てはめて考えたとき、想像することもできない深い深い谷に落ちてしまうような錯角を覚えました。

 

自然災害はいつどこで起こるかわからないし、それ以外にも、交通事故や他のアクシデントに巻き込まれてしまう可能性は誰にでもあります。常にそういった危機に備えることはできないけど、少しでも後悔を少なくするための行動は今この瞬間から可能なんで、いろいろと気持ちを伝えることは大切なんだなーと読んでいる最中、常にそのことを感じました。いつも、ありがとナス!

 

震災後の不思議体験

震災で愛する人を失った方は、その後の不思議な体験を通じて「彼らを感じることが出来た」と、自らの体験をポジティブに語っています。その体験は人によって様々で「子供の好きだったオモチャが勝手に動く/鳴る」だったり、「思い出の品が瓦礫の中から無事に見つかる」「夢の中で語りかける」「あり得ない送信日時のメールが届く」などなど。

 

平時にこんなことが起こると恐怖でしかありませんが、震災後、大切だった人の思い出にまつわるような上記現象は、アレですね。

 

魂は存在する

読了後に改めて、わたしは「やはり霊は存在する」と思いました。

地域性や文化、人の精神状態など、批判する材料はたくさんありますが、当事者はそんなことなどどうでもよく、姿形は目に見えないけれど「亡くした人を感じることができる経験」は当人にとって死者との唯一のコミュニケーションなんです。

 

これらの経験が本物であると信じたいし、わたしも実際にそういう状況にあったら、何が何でも感じたいと願うと思います。

 

ぜひ読んでみてほしい

内容が内容だけに、おおっぴらに本書を他人にすすめることはできません。

が、少なくともこの記事に目を通した僅かな方々には、ぜひ読んでみてほしい一冊だと伝えたいです。