『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上・下』を読みました

 

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

2016年19冊目、20冊目。

 

2015年12月にミレニアムシリーズの最新作「ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女」が発売されました。

このミレニアムシリーズ、第1部がダニエル・クレイグ主演でハリウッド映画化されており、本屋でもたびたび見かける「気になっているけどなかなか手が出ない本」でしたが、何の気になしにとうとう手を出すことに。今さら感がすごいんですけどね(;・∀・)

 

「月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表した。だが名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れた。そんな折り、大企業グループの前会長ヘンリックから依頼を受ける。およそ40年前、彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいというのだ。解決すれば、大物実業家を破滅させる証拠を渡すという。ミカエルは受諾し、困難な調査を開始する。」

 

読み始めて早々、この作品は読み切るのが大変なのでは…と思わせるような障壁にぶち当たりました。

 

一つ目は「登場人物の多さ」

同じ家系の人物がたくさん出てくるため、内容をある程度覚えるまでは「この人、誰だっけ?」ということが度々ありました。それに馴染みのない名前がバンバン出てくる点も頭を悩ませるポイント。

 

二つ目の障壁は、スウェーデンという「馴染みのない国の小説」であること。

アメリカやイギリスなら雰囲気でなんとなくわかりますが、スウェーデンという国に関する知識は持ち合わせていませんでした。そのため、クローナという通貨や情景描写もイマイチ頭に入ってこない(ちなみに1クローナは今の相場で約13.5円)。

 

この二つ障壁に読み始め早々ぶち当たりましたが、杞憂でした!

読み進めていくうちに世界観に没頭してしまい、作品の峠を越えたあたりからは「先の展開が早く知りたい」となってからは二つの些末な問題など消し飛んでいます。まあ、慣れの問題も少なからずありますが。

そのため、本作を読み始めて「なんだか読みにくいな…」と思っている方へのアドバイスとしては「とりあえず読み進めてください」としか言いようがありません。

 

こういった感想に個人差はあれど、それほどに本作品の完成度は高く、本国スウェーデンでは「読まないと職場で話題に付いていけない」と言われるほどの人気だったと訳者あとがきに書かれていました。日本で言う、一昔前の「半沢直樹シリーズ」でしょうか。ただ、半沢直樹シリーズでも売り上げは数百万部程度。ミレニアムシリーズは全世界で5000万部以上も売り上げているようで、この数字を見ても間違いない1冊ですね。

 

惜しむらくは、著者であるスティーグ・ラーソンが既に亡くなっているということ。

著者の処女作(!?)であるミレニアムシリーズは10部まで構想を考えていたようでしたが、3部を書き終えた時点で著者が亡くなってしまい途絶えました。

最新作「ミレニアム4蜘蛛の巣を払う女」はダヴィド・ラーゲルクランツという方が3部までの設定を引き継いで執筆したようですが、そううったことを考慮すると純粋な「ミレニアムシリーズ」という意味では3部までなのでしょう。

 

とはいえ、非常に完成度の高い超大作であることは変わりないため、海外小説のオススメとして知人に紹介したくなる1冊です。