「鹿の王」を読みました

鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐ 鹿の王 (下) ‐‐還って行く者‐‐

 

久々に上橋菜穂子さんの本を読みました。

過去に「守り人シリーズ」と「獣の奏者」を読んでおり、どっぷりと上橋ワールドにはまってしまった口でして、本作も迷わずに手に取る。

  

守り人シリーズ」や「獣の奏者」は大人も楽しめますが、やはり児童文学といったジャンルに収まっている内容で小学生でも楽しめる作品だと思います。

そして、本作はその枠を少し超えた作品だなーと感じました。

 

わたしがそう感じたわけは、本作で病理学に関するテーマが扱われていること。

数か月前に破壊する創造者――ウイルスがヒトを進化させた (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)という本を読みましたが、なぜかこの本の帯コメントを上橋菜穂子さんが書いておりました。

 

そのときは、なんで児童文学を書く作家さんがこのような分野の帯コメントを書いているのだろうと疑問に思っていましたが、本作を読んで合点。

 

作中では病理学について分かりやすい言葉を用いて説明していますが、今までの「ザ・児童文学」とか「世界感にどっぷり浸るファンタジー」を楽しみにしている読者からすると、このあたり(理系要素的な内容)に抵抗を感じるかもしれませんね(;・∀・)

 

そして、わたしが上橋菜穂子さんの本を読んで毎回感心することは、「よくこんな世界感を思いつくな(゚д゚)!」ということ。

本作でいう東乎瑠(ツオル)帝国とか黒狼熱(ミツツアル)とかね。

 

正直言うと上記のような造語が読みづらいな、とか読みながら思っている人も大勢いるのでしょうが、そういったディティールを作中に散りばめていくことによって、大きな世界感を構築していくのだなーと読後に毎回思います( ・ω・)

 

「鹿の王」は2015年本屋大賞にも選ばれている作品らしい。エンターテイメントとして大人でも十分に楽しめる一冊でした。