『読書のチカラ』を読みました

 

読書のチカラ (だいわ文庫)

読書のチカラ (だいわ文庫)

 

 

2016年16冊目。

 

読書に関する本を読むと、少なからず似たようなことが書かれています。読書法とか、本を読む意義とか。

しかし、読書に対する考えというものは著者によって大きく異なっていることが多く、その差異を「なるほどー」とか「その考えはないな」とか思いながら読めるので読書本を読むのはそこそこ楽しいです。

 

本作で気になった部分を何点か挙げてみます。

「これらの古典的良書避けて底の浅い本ばかり読むことは、1軍でのプレイを恐れて万年2軍で満足しているようなものである」

「それ(昔の作品)を読破せずに現代の作品だけを読んだり、ましてや本を読まずに過ごしたりすることは、精神の宝を捨て去るような暴挙に近い」

 

読書に対する姿勢を述べた部分はフルスロットルです。序盤からテンションがあがる本。終いには…

「読書しなければ人にあらず」

 

とも言っていました(笑)

 

  • 現代文学ばかり読んでいると本当の教養は身に付かない!
  • 読書をしないなんてあり得ない!

と言うことらしいです。

前者については一利あると思うが、現代文学にしてもその時代の生の文学であり、言葉にしても流行りや廃りがあるわけで、古典的良作がいつの時代も完璧な教科書であるとは個人的には思いません。

後者については、全面的に賛成。学生の頃から習慣的に読書をするようになったけど、それまで、読書の大切さを教えてくれる人は周りにいませんでした(読書のきっかけは、ただ通学時間が長くて暇だったからという、褒められた動機ではないけれど)。読書によって得られた多くの知識は、私生活でも仕事でも大いに役立っています。本を読まないよりは読んだ方がいい。これはもう自明の理

 

絵本の読み聞かせについて書かれている部分もありました。

「アニメと違い、絵本の絵は動かない。それを動かそうと思えば、親の話す言葉からイメージしていく必要がある。それが豊かな情緒を育むのである。情緒がその後の人生に欠かせないものであることは、大人なら誰でもわかるだろう。人間としての喜びや哀しみの感情をふつうに持つことは、自分を冷静に分析する上でも、他人を理解するうえでも欠かせないはずである」

 

絵本を数冊読んでお終いではなく、50冊とか100冊単位で読ませて初めて意味があると言っています。それに図書館で借りて返す本では意味がなく、それらを家の本棚に置いておくことにも意味があるのだとか。うぅ、耳が痛い。

 

万人受けしない過激な内容も書かれていますが、読書方法や本の選び方などはすごく実用的でためになります。読む本によって緩急をつけるギアチェンジを使った方法や参考文献などをたどって読んでいく「拠点読み」、同じレーベルを読み続けて新たに読書領域を広げていく「レーベル読み」などなど。

 

巻末には300冊のブックリストも載っているため、これから読書を始めたい、この先どういった本を読めばいいのかわからないといった方にはうってつけの一冊です。