『ミレニアム2 火と戯れる女 上・下』を読みました

 

ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム2 火と戯れる女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

ミレニアム2 火と戯れる女(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

2016年23冊目、24冊目。

 

前作『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』は、大物実業家の違法行為に関するスクープと30年以上前の少女失踪事件の捜査という全く無関係な2つの事件を中心にストーリーが展開していき、無事にそれらの問題を解決しました。その構造は経済ミステリー王道のミステリーをほどよく取り入れた感じ。

 

本作はその後の話し。

上巻のあらすじ

「女性調査員リスベットにたたきのめされた後見人のビュルマンは復讐を誓い、彼女を憎む人物に連絡を取る。そして彼女を拉致する計画が動き始めた。その頃ミカエルらはジャーナリストのダグと恋人ミアが進める人身売買と強制売春の調査をもとに、『ミレニアム』の特集号と書籍の刊行を決定する。ダグの調査では背後にザラという謎の人物がいるようだ。リスベットも独自にザラを追うが、彼女の拉致を図る者たちに襲撃された。」

 

下巻のあらすじ

「リスベットは襲撃者たちを撃退した。だがダグとミアが殺され、現場でリスベットの指紋がついた拳銃が発見された。さらに意外な人物の死体も見つかり、彼女は連続殺人の容疑者として指名手配される。リスベットが犯人と思えないミカエルは彼女と連絡を取り、事件の調査を進める。やがてリスベットは、ある重大な情報をつかんだ。そしてミカエルはザラの正体を知るが…リスベットの衝撃的な過去が明かされる激動の第2部。」

 

本作をカテゴライズするなら、社会派ミステリーとなるのでしょうか。

前作で退治されたビュルマン弁護士が復讐を誓ったあたりから、雑誌『ミレニアム』を巻き込んで復讐劇、さらには国家権力に関する大騒動に発展していくわけですが、疎遠となっていたミカエルとリスベットがまたしても協調(?)して解決に挑んでいきます。

 

前作で経済・王道ミステリーを展開して、本作では社会派ミステリーを展開する本シリーズ。同じシリーズ作品でこうも多種多様な展開を見せてくれる小説は初めてで、とても感心しました。また、筆者自身がジャーナリストであったということもあり、ジャンルが違うミステリーであれど作品のディティールはとても細やかに配慮されており、読んでいて違和感が少ないです。

 

また、本作の大きな展開として、ヒロインであるリスベット・サランデルの秘密に包まれた過去が判明します。本作の終わりでとても大変な目に合う彼女ですが、これらの問題は第3部「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」に続くので次巻でのお楽しみ。